都の春
顔に傷を負ってから、俺は少しずつ変わった。
春香を避け、今までよりも武芸に励んだ。
春香に顔を見られて、失望され、怖がられるのが怖かった。。
養父上は…
『皇族には、権威と誇りがある。
武芸は、必要ない!』と俺を一喝してきたが、俺は怯まなかった。
元服(今の成人)が近づいてきた。
元服すれば、春香とも今までのようには逢えない。
俺には、淺川宮家の次期当主として…
春香入内に向けた、動きを活発化させねばなるまい。
春香は、俺のもの!そう叫びたい想いを抑えて。
俺は、久しぶりに春香に会いに行った。
―春香の部屋―
「春香…
久しぶりだね。」
『兄上様!!
お顔に傷を負れたと聞き心配しておりました。
私を狙った…
「賊」だったのでしょう?
兄上様、ごめんなさい。
兄上様は次期、淺川宮家の当主となられるお人なのに…』
俺が、春香にこの日会いに来たのには…
――本当の理由―があった。
本当の理由…
〜壱〜
春香に入内が決まった事を伝えること。
〜弐〜
俺の元服を伝えること。
.