都の春
「春香……
東宮様への入内が決まったよ。
おめでとう。」
『えっ!!
私がですか?』
「そうだよ。
傍流とはいえ、皇族だかし、春香は淺川宮家の一人娘だから…
摂関家との関係は、養父上がなんとかして下さっるから、心配いらない。
それに伴って、養父上の補佐のために…
俺は、
――元服――する。」
『もう、兄上様とは近くで逢えないのですか?』
この時代。。。
東宮や天皇に嫁いだ女の人は、兄弟でも御簾ごしでないと会えなかった。
何故なら、東宮に嫁いだ時点で親兄弟は…
――臣下だから――
それに加えて、元服すれば宮中の仕事が忙しく、春香に会う時間などは、論外になってしまうのだった。
「俺に替わって、東宮様が春香を守って下さる。
だから、心配しないで…」
俺は、はちきれそうな想いを抱えながらそう言った。
なのに…………
春香は。。。
『宮中などに一人ぼっちでは、死んでしまいます!!
私は東宮妃になど、なりたくありません。。
兄上様の、お側に…』
そう言った。
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