都の春
俺は、元服した…
春香は、女御(中宮の次の位の妻)として入内した。
養父上は、俺の正妻に、摂関家のひとつ『七条家』の養女…
〜一の君〜を据えたいと言った。
それは、摂関家との間を保つための政略結婚。。
俺は悩んだ。
「養父上。
私が嫌だと申したらどうなさいますか?」
『理由によって判断するよ。
理由によっては、そなたを廃嫡する』
「廃嫡でございますか…
私は一の君に相応しくありません。
一の君は、美しくて、琴の上手な姫君だそうで…
私以外に、相応しい相手はおられます。
私には生涯、妻はいりません。
私には生涯、忘れられない人がいます」
『そなたがこの結婚を呑まないと、一の君は…
東宮様に入内する。
春香は中宮(正妻)になれなくなる。
それでもよいのか?』
…いい訳ないだろ…
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