都の春
わかった。
養父上は、七条家に俺と春香の仲を怪しまれているのか?
この結婚は、俺を侮辱している。
「私は、養父上がこの結婚を決行されるなら、出家いたします。
よろしいですね」
俺は満面の笑みで言った。
養父上は…
『お前は浅川宮家の世継ぎだ。
次期中宮の兄でもある。
そんな勝手は許さん!
弟に申し訳ない…
だが、一の君との縁談は破談にしない。
お前次第で、破談に出来るかもしれない…』
「どうしたらよろしいのですか?」
『しばらくは、うつけもの(馬鹿者、乱心)のフリをするのだ。
物の怪が取り憑いたフリでも良かろう。
男性機能も不能だと噂を流して、向こうから破談を申し出るように仕向けるのだ。
そのかわり…
一生結婚出来ないぞ?』
「はい…」
これが、八年前のやり取りで今に至る。
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