都の春
『やぁ、春菜。
夜分にすまないね』
「いえ…
大丈夫どすけど、どうなさいました?」
『これから三日間、俺はお前と床を同じくする』
「どういう意味どすか?
うちには分からんので、分かるように説明して下さい」
『一緒に寝るのだ』
「なんでどすのん?」
『俺はお前に惚れた』
はぁぁ――――!
意味不明やわ
いきなり寝るとか言わはって、お前に惚れた?
大丈夫なん、この人…
気を取り直して、うちは言った。
「宮さんが、惚れたと言わはっても…
うちは、宮さんを素敵な人以上に思とりませんし、出逢ってすぐで…
宮さんの真名?も知りません」
『なんだ…
そんな事か。
私の真名は――
浅川宮家 次期当主
靖仁親王(ヤスヒトシンノウ)だ』
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