恋に恋してる

こころの古傷

朝大学に行くと
美優が化粧をしていた。


なに?デート?


うぅんあ?おはよー。うーん?まあ、そんな感じかな

とマスカラを塗りながら応えた。
美優は私と違ってすぐに人を好きになる。それは世間一般では普通らしいが、私は“安い恋愛”だと言う。
美優にそのことを言うと
「恋愛に安いも高いもなくない?」と言われた。
お金では買えないからきっと正論だろう。


彼は公務員で、誰にでも優しいの。見る?

と彼側のメリットを言って携帯の画像を、うん。見る。と言う前に私に見せた。

普通の好青年だった。
画像の中の彼は小さいながら
笑顔で茶髪の頭が太陽に照らされて何か手を上げる寸前のようで、手がオバケみたいになっていた。


ふーん。いいんじゃない?

真花だったら付き合う?

それは、中身を知ってからじゃな・・・
と言い終わる前に美優は強く言う。

だと思った。そうやって真花は逃げてるのよ。中身を知ってからなんて付き合ってから分かる事のが多いんだから。


真花は恋愛経験が少なすぎる。と遠回しな言われたようだった



ごめん

そう言うと美優は悲しい顔をして
真花には幸せになってほしいの

とビューラーで睫毛を鏡の前で上げながら言った。
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