恋に恋してる
夜の10時を回って
お店に入った。

二人で音楽について話した。
それはそれは長い話で
私も生き返っていくような瞬間だった。
彼は時々煙草を吸うのだけど
全く似合わなかった。
だって服装も気にしないし
弱そうだし、
だらしないし、
彼は私が普通に生きていたら会わないような姿形をしていた。

でも、ライブで見る彼は誰にも負けないぐらいかっこよくて、世界一輝いていた。

男に甘えても
男に抱き締められても
全く満たされなかった心が
満たされていった。

それがちょっと痛くて、
切なかった。


朝方になって私達は別れた。
次の約束はきっとライブをやるときだと、思っていたけど、口に出さないまま、さよならをいった。
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