恋に恋してる
それから数回、
ライブを見に行っては
二人で飲んでいた。

時々、彼の家にもお邪魔した。

もう決まっていたかのように、
好きだと伝えられ、
私はすんなりうなずいた。

私達はずっと一緒だった。
大学が終われば彼の居る家に帰った。
ライブがあれば見に行った。

私は彼が好きなのだ。
かっこわるくて
ださくて、
だらしない。
煙草の似合わない彼が
好きだったのだ。



いつかの夜、彼は会ったあの時の話を始めた。
私が泣いていたこと、
飲みに誘われたこと、
たくさん話しては、大切な言葉を私にくれた。
泣いた理由も聞かないのに
しっかりと的を得た
答えが彼にはあった。
私の心がふ、と安心したかのように泣き出して、
なんだかうれしくなった。
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