恋に恋してる
夢を見た。私は誰かと恋をした。顔が見えなくて後ろ姿だけ確認できる。
その人が来ると私は子供みたいにうれしそうに話をするのだ。
彼は迷惑そうだったのだけは覚えている。
一瞬で場面は変わって人ごみの中でその人を探した。
どんなに多くても私は彼を見つけることができた。
近くに行こうと人をかき分けながら向かうけど、
彼は携帯電話を耳に当て反対方向に急いで走って行ってしまった。
ぼーっとしていた私は携帯のバイブに起こされた。


「定員を達した為、不採用とします。」
ただそれだけだった。あぁ、3日前に受けた近くの雑貨屋のバイトだ。
とても丁寧な不採用のメールより、一言で不採用と言ってしまうそんな人。
会社に置いといていいのだろうか?というか、私が会社に入ってもこんな
メールは打たないだろう。このメールの打った人が正社員なら
私を採用してほしいくらいだった。
今度は迷わず消していた自分がおかしかった。

携帯を閉じて横を向いた。
男が横で寝ていた。見たこともない男。



いつもと変わらない私の家。

物の位置も間取りも
放りっぱなしの雑誌も全て
何も変わっていない。変わっているのは男が寝ていることだけ。


あなた、誰?

まだちゃんと働かない脳を叩き起こした。
気付かず男は寝ている
見覚えはあるか頭の中の引き出しをフラフラと引き出しては閉めている
閉めるのも億劫になってわあっと書類が散乱してる時、
男は動いた。
じっと観察していると男は目覚めた。
こちらを見るなり

おはよう。

と言った。
あんたは一体誰なんだい?朝の7時。
いつもこんな朝早く起きないのに、今日は何故かすっきり起きた自分が居た。

胸の鼓動が普通にしてても聞こえてきた。

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