恋に恋してる
あの・・・何故ここに?
そう言うと男は笑った。

覚えてないの?

う、うん

ふーん。じゃあ帰るわ
そうゆうと起き上がった。

なんで!
咄嗟に出た言葉だったが
今この時、男が服を着る姿を見て自分が裸だったことに気付いた。

なんでよ!
さっきとは違う意味に捉えてほしい。クッションを男に思い切り投げた。


あたっ。何怒ってんだよ、落ち着け。昨日お前が誘ったんだよ。なーんで覚えてないの?

いつどこでなんで私が?

お前いつもこんなことしてるの?やめといたほうがいいぜ、男は喜ぶけどさ…

ちゃんと言って!
頭が混乱して泣きそうだった。

怒るなってー。昨日、電車から降りたら、具合悪そうに座ってるあんたが居たわけよ。んで、大丈夫ですかー?つったら家まで送ってとかいうから、とんだ執事になっちゃったわけ。んで家まで送って今だよ。


抜粋しすぎてよくわからなかった。男に騙されているのかな・・・。
シャワー借りるよー。と勝手に使われた。

ちょっと!!
何処までおてんば野郎だ。
一度、冷静になった私は昨日の記憶を辿ってみた。

あ、昨日就職面接落ちたんだ…。
結構良い感じの面接だったのに、電話で通知されたんだ。
落ちるのはもう慣れたけど、昨日やけくそになって
リクルートスーツのまま立呑屋で呑んでたんだ・・・。その後の記憶は消えていた。
えぇ、そんな飲んだっけ?自分を疑った。

少し経って男が出てきた。自分の家かのように歩き回り、冷蔵庫を開けたり
TVをつけたり…。私は唖然と見てることしかできなかった。


そのまま数十分。


男はじゃあな、と言って玄関に向かった。

えぇ!と今までの時間との切り替えとか、私に対しての説明とか、なんかそういうの
何もなくてびっくりした。


ごめんなさい。何も覚えてない、貴方も忘れてください
人生の汚点を早く消したかった。


そう言うと笑ってこう言った。

お前今日暇なの?




暇だった。
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