恋に恋してる

好きな人

ドレスを選ぶとき
水色か薄いピンクで迷っていた。
何やら川上は電話をしに行ってしまったから一人で悩んでいた。
水色は膝丈でストンとしたデザインでとても鮮やかだった。私の黒髪にもよく似合っていた。
店員さんはにこやかに足が綺麗に見えますね、と褒めた。そうだ、靴は黒がいいな、なんて笑い合っていた。

薄いピンクは膝少し上の丈でウエストで切り返しがあって女の子らしいドレスだった。肩が出てしまうデザインだったから、このままじゃ着れない点とあまりにも女の子らしくてスーツより強い鎧を着たみたいだった。
店員は変わらずにこやかで今度はお顔が明るくなりますね、と褒めた。


水色かなぁ〜、と鏡を見ながら店員さんに言った。

とてもお似合いでしたよ。
とにこやかに言って悪い気はしなかった。

ピンクの淡い柄を見ながら、

丈も水色のが丁度いいし。
と決定するかと思いきや、

後ろから綺麗な白のストールを
肩に掛けられた。
川上だった。

これがいいじゃん。まりによく似合ってる、靴はあそこの白のピンヒール

肩に手が触れているのが
ドキドキしてどうしようもなかった。

でも、丈短いし、水色だったら一枚で着れる。私気に入ってるよ?

いや、駄目。こっちにしよう。一式下さい
そう言うとすぐに店員さんはお辞儀をし、店の奥に入っていった。
納得の行かないような申し訳ないような顔をしていると川上は言った。

まりが思うほどこのドレスは君を綺麗に見せてるよ。見てよ、ほら。髪をアップにするともっと魅力的だ
そう言ってまりの髪を無造作に掻き上げた。長い髪は艶やかに気取った。見つめられるのが恥ずかしくなって下を向いた。


やっぱ綺麗に焼き魚食べるだけ違うわ、まりは

ちょっと!
つい大きい声が出てしまい店に響いた。

含み笑いをしながら 着替えておいで と言って店員さんと向き合った。


カーテンを閉めた。

なに、ドキドキしてるんだろ。
馬鹿じゃない。




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