恋に恋してる
パーティーはホテルの会場で行われた。
人がたくさん居て目が廻りそうになった。
給料分の仕事はしなきゃと思って背筋を伸ばした。

川上は私の腰に手を掛けて歩みを促した。彼は完璧だった。だれもが憧れる旦那だった。

笑って

その声に川上の目を見る
全て見透かされそうで、怖かった
胸がえぐられそうで、笑って視線を外して息をした。

会場に入ると、すぐに川上は呼び止められた
スーツを着た年配の人や若い人、女の人もいた。
決まって川上は相手と握手をして私を当たり前のように紹介した。その繰り返しだった。奥さんが居れば少し雑談をしたりする程度だった。それで終わりだと思った。

時間が経つにつれ足が痛くなった。

川上は耳元で 少し休みなよ と背中を押された。
川上はすぐに誰かに呼び止められていた

私はお辞儀をして化粧室に向かった。
案の定、足が痛々しかった。
いつもなら絆創膏を迷わず貼るけど、今日はそうもいかなかった。
少し休んで会場に戻った。

一回休むとなんでこんな靴擦れって痛くなるの?って叫びたいほど痛かった。
踏張ってる自分が笑えた
頑張ろうと思えた。



後ろから誰かに呼ばれた。

川上と同じくらいの年のスラッとスーツを着こなした男。 
誰だか知らなかった



川上さんの奥さんでしょ?初めまして。日の山で働いてる山内です そう言った笑顔は何かを予感させた。







それまで、すんなりと仕事は終わると思ってた。
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