恋に恋してる

過去という罪

会場に戻るとさっきと何も変わらない風景がただ流れていた。

着くなりシャンパンをウエイターからもらい一気に飲んでグラスを返した。
まり、大丈夫?川上だった。
頷くと、相変わらず色々な人と挨拶をし、仕事の話や雑談をしていた。

川上っ!という声に振り返って手を挙げた姿がスロー再生で見えた。
近づく呼び声の正体は不気味な笑顔を浮かべた(ようにみえた)
山内大輔。
川上は懐かしそうに笑って話していた。

妻のまりだ。こちら山内大輔。大学が一緒でさ、よく飲み行ってた仲なんだ。
そう川上はこちらに話を振った。

よろしく。そういった山内は私の前に手を差し伸べてきた
それが2度目の握手だった。

時計は21時半を廻った

そろそろ帰ろう。と出口に向かった。川上は最後まで完璧だった。
私の役は終わったのだ。
ロビーに向かい玄関を出ると車が用意されていてすぐに乗り込み発車した。

ホテルのほうを見ると山内が居た。こちらに手を振る。

私はあの男を思い出さなくてはいけない。


川上はパーティーが終わった後も上機嫌で仕事がうまくいったらしい。まりのお陰だなんだ言っていたけど、私は本当になにもしてない。
不安だった。川上はなんで私だったの。他に理由があるんじゃないの?

山内と繋がっているの?

私をあいつに売るために    きたのかな?

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