恋に恋してる
時は夕方に海はキラキラと輝き、空は茜色に染まった。

波の音を聞きながら歩く海沿い
最初に口を開いたのは川上だった。

俺さ、まりに謝らなきゃいけないことがある

何? 歩みを止めて少し後ろを歩いていた川上を見た。

初めて会ったあの日、まりと俺は何もなかったんだ

え?

俺らは何もない、ただ、仕掛けた
なーんだ
安心したような、悲しいようなセンチメンタルになった。

なんでそんな事したの?

まりと居たかったから

・・・嘘でも嬉しい
笑って歩き始めた。

おっ今日は素直だね
意地悪に言った。

嘘でも・・・信じたい、川上を。
私はこの人にきっと騙されてる。川上を見るのが恐かった。今ニヒルな笑みを浮かべてるのかな、とか携帯で誰かに報告してたりさ、してたら嫌だなて、授業でみた映画みたいに上手くいってほしいな、なんて思っていた。

まりともっと早く出会っていたかった

ありがとう

川上が山内と手を組んでいるのなら、川上の願いもただ1つ。
今日の山内との約束を果たせばいいのだ。そしたら、私は来週から清々しく就活にバイト探しに学校に行ける。




もう帰ろう。疲れちゃったよ
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