恋に恋してる
ロビーに着いたちょうど20時だった。
ドアを開けてくれる谷田さんは複雑な面持ちだった。
まりさん、今日のご帰宅の時間は?お迎えにあがります
時間…わからないから大丈夫ですよ。待たせるのも悪いです。それに今日は帰らないかも…
谷田さんはお辞儀をした。いってらっしゃいませ
歩き始めても谷田さんは何か言いたげで、だけど何も言わずに車に戻った、音がした。
ロビーを入ってすぐ、山内は目をキョロキョロしてソファに座っていた。
私のことが目に入ると子供みたいな綺麗な目で私を迎え入れた。
本当に来てくれたんだね。うれしいよ
そう言ってエスコートした。きっと彼も出来る人なのだろう。
エレベーターに乗ると近くなった山内との距離。私のすぐ後ろに山内は居る。
背が高いので私は着くまでに彼の顔を見上げてみた。
彼の手を握る。私は自分に嘘をつくことにした。
山内を愛すこと、山内を許すこと、亜美からの解放…。
部屋は最上階のスイートだった。
こんな部屋じゃなくてよかったのに。来たことないから落ち着かない
夜景綺麗だろう?まりに見せたかったんだ。ワイン飲む?
えぇ、頂きます。そう言ってソファに腰掛けた。ワインを注ぐ山内に問いかけた。
なんで私に近づいたの?
なんでって。たまたまだよ。ワインを手渡しグラスを合わせた。いい音が鳴る。
で?まりは僕のこと思い出したの?思い出してなかったら怒るよ
私が小学生の時に見たあの目がまた私を見る。
息が苦しい、蒸し暑い夏。
私は見た。
この目を。少しの扉の隙間から…。
何故私に思い出させようとするの?私はあなたの名前さえ覚えてなかった。記憶から抹消してた。過去に鍵をかけて開けないようにしてたのに
思いだしたんだ。良い子だ
あなたはキチガイよ
まりにも亜美がいなくなった苦しみ忘れてほしくなかったんだよ
そう言って後ろから優しく抱きしめた。ソファから立って振りほどいた。
あなたのせいじゃない!亜美を追い詰めたの。私が小学校低学年の頃。亜美から相談されたのよ?「お兄ちゃんが変なことする」って!
涙が溜まって前がちゃんと見れなかった。次々に涙は零れるのに前は見えなかった。
あの目で山内は私を見る。
胸が張り裂けそうで、痛かった。
ドアを開けてくれる谷田さんは複雑な面持ちだった。
まりさん、今日のご帰宅の時間は?お迎えにあがります
時間…わからないから大丈夫ですよ。待たせるのも悪いです。それに今日は帰らないかも…
谷田さんはお辞儀をした。いってらっしゃいませ
歩き始めても谷田さんは何か言いたげで、だけど何も言わずに車に戻った、音がした。
ロビーを入ってすぐ、山内は目をキョロキョロしてソファに座っていた。
私のことが目に入ると子供みたいな綺麗な目で私を迎え入れた。
本当に来てくれたんだね。うれしいよ
そう言ってエスコートした。きっと彼も出来る人なのだろう。
エレベーターに乗ると近くなった山内との距離。私のすぐ後ろに山内は居る。
背が高いので私は着くまでに彼の顔を見上げてみた。
彼の手を握る。私は自分に嘘をつくことにした。
山内を愛すこと、山内を許すこと、亜美からの解放…。
部屋は最上階のスイートだった。
こんな部屋じゃなくてよかったのに。来たことないから落ち着かない
夜景綺麗だろう?まりに見せたかったんだ。ワイン飲む?
えぇ、頂きます。そう言ってソファに腰掛けた。ワインを注ぐ山内に問いかけた。
なんで私に近づいたの?
なんでって。たまたまだよ。ワインを手渡しグラスを合わせた。いい音が鳴る。
で?まりは僕のこと思い出したの?思い出してなかったら怒るよ
私が小学生の時に見たあの目がまた私を見る。
息が苦しい、蒸し暑い夏。
私は見た。
この目を。少しの扉の隙間から…。
何故私に思い出させようとするの?私はあなたの名前さえ覚えてなかった。記憶から抹消してた。過去に鍵をかけて開けないようにしてたのに
思いだしたんだ。良い子だ
あなたはキチガイよ
まりにも亜美がいなくなった苦しみ忘れてほしくなかったんだよ
そう言って後ろから優しく抱きしめた。ソファから立って振りほどいた。
あなたのせいじゃない!亜美を追い詰めたの。私が小学校低学年の頃。亜美から相談されたのよ?「お兄ちゃんが変なことする」って!
涙が溜まって前がちゃんと見れなかった。次々に涙は零れるのに前は見えなかった。
あの目で山内は私を見る。
胸が張り裂けそうで、痛かった。