恋に恋してる
私、意味がわからなかった。喧嘩でもしたのかなって思ってた。
私一人っ子だったから兄弟の関係性がよく理解できてなかった。
亜美はある日言ったわ、「お母さんもお父さんも夜にならないと帰ってこないの」って、「お母さんにそのこと話そうとするとお兄ちゃんすごい怒って怖いの」って

山内も泣いていた。笑いながら泣いていた。それが不気味で今にも逃げ出したくなった。

亜美は唯一の…私の唯一の友達だった
(泣きすぎて頭が痛いよ)
あなたが亜美を奪ったのよ!!!

やめろ!僕じゃない!僕は奪ってない!亜美が勝手にいなくなったんだ!僕を置いて亜美は…。嗚咽を漏らしながら泣いた。

とても暑い日だった。蒸し暑くてしょうがなかった。
夏休みに入る前の終業式、15時に家に来てって言われたの。
親がいないから勝手に入ってって。時間通り亜美の家を訪ねた。
チャイムを鳴らしても亜美は出てこなかった。他の人の家の匂いがして緊張した。
1階で亜美を探してた。そしたら2階から物音が聞こえたわ。
じっとりして蝉の声が聞こえる2階に足を運んだ。
奥にある扉からクラシックの音楽が流れてたの。
近くに行くとドアの下に隙間があって冷たい空気が流れ出てた。
静かにドアを開けゆっくり見たわ。…そしたら

山内は泣き叫んだ。声が心にグサグサ刺さる。
僕じゃない!僕じゃない!僕じゃない!僕じゃない!
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