恋に恋してる
次の日、山内に誘われてまたあのホテルに向かった。
谷田さんは何も言わなかった。
私はお礼を言い、ロビーを抜けた。その時、谷田さんは川上に連絡を入れた。
私との約束を破り、川上に知らせた。もう数日の付き合いだったので、それでも上手く誤魔化せるならそれで良いと思った。


山内は変わらない姿で部屋のドアを開けた。前より落ち着いて、自分を取り戻して来てるようだった。あの日は山内はずっと泣いていた。泣き顔はうんざりだったので、ネクタイを目隠し変わりにしキスをした。
ベッドの上でも山内は亜美の名前を呼び続けていた。
私は亜美の代用になった。
それで山内が変われるなら構わなかった。



大輔が全部仕掛けたんでしょう??

え?

私を此処までやらせる作戦だったんでしょう?川上と手を組んだんでしょう?

すぐに答えを出さずに言葉を選んで発言しようとしているみたいだった。
…あのさ…まりは勘違いしてるじゃないか?

どうゆうこと?

僕は川上と繋がってない。本当にあの日は偶然だったんだよ。だからびっくりした
動作をつけた山内はまりを椅子に座らせようとした。

やめて!触らないで!
急変したまりは視線がおかしかった。

どうしたんだ、まり?

嘘よ!大輔は嘘をついてる。そんなはずない
そんなずないよ。だって…だったら…なんでキスなんかするの。
だったらなんで、私をいつも受け入れるの…。

落ちつけよ。本当だよ。俺は卒業してからほとんど川上には会ってない。会社の都合で会うぐらいだ。川上と何があったんだよ

すべてを山内に明かした。私が助けるつもりだったのに、一夜泣きじゃくりながら励まされた。いつの間にか朝になっていた。ぼーっとして横で寝ていた山内に身体を寄せた。
ぎゅうっとすると心臓の音が心地よくてまた眠りに落ちていた。

次にグロスを鏡の前で塗っていたのは朝の10時だった。
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