恋に恋してる
山内の名刺を探した。案の定見つかった。では事実だったのだろうか?
ためらいがちに電話をした。

コールの音より、自分の心臓の音が響いた。

少し経って、もしもしという声が聞こえた。

大輔…?

どちらさ…もしかして、まり?

元気だった?

まさか、電話してくれるとは思わなかったよ!元気だよ、まりは?

うん。そこそこ。ねぇ、最近川上に会った?

川上?いやー会ってないな…。どうかしたのか?

いや、なんでもないんだけどさ。あ、結婚もうしたの?

ん?あぁ、籍はいれたんだ。今月の終わりに式挙げるんだけど、まり来ないか?

えぇー、私はいいよ。

ぜひ来てくれよ。まりは僕の理解者だから。

…わかったよ。お祝儀そんな包まないからね。
そう言うと笑って電話を切った。


川上は実在する。
それだけで安心した。
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