荊姫~第二章~
「アハッ…じゃねえよ!!どうやったら一人の人間が二人になるんだよ!!」

「まぁまぁ、落ち着いてください紫恩さん」

今にも二人に飛び掛りそうな勢いの紫恩を

千沙がなだめた

「ハァ……とりあえず、状況を確認したいんですが」

誄華が呆れた目でユキたちを見た

「あ、わりぃ……で、今の状況ははっきり言えば最悪だ」

「…最悪?」

ユキが眉をひそめてシンを見た

「あぁ、シェアル国は闇の魔女の襲撃によってほぼ壊滅状態だ」

「壊滅!?」

「そこまで酷かったなんて……」

紫恩たちは顔をしかめた

「それだけではありません、この国の王とその娘が奴らに連れて行かれてしまいました」

「王が……」

「…連れて行かれた!?なんでそんなこと…」

「……ユキ様の命を渡すなら解放すると言っているようです」

「!?」

ユキは目を見開いた

千沙は少し目を伏せていた

「ユキの命だぁ!?ふざけんじゃねぇ!!」

「…………」

紫恩が怒りをあらわにしながら叫んでいると

誄華が無言で魔方陣を発動した
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