my Sweet Cat...《短編・完結》
『えぇー…風邪?』
「うん…熱が下がらなくて。ごめんな」
『もう、楽しみにしてたのに。ありえな〜い』
電話の奥で深い溜息がしっかりと聞こえる。
友香は、不機嫌なまま電話を切った。
「キョウイチ〜!」
「ちょっと、いきなり抱き着いてくるなよ」
かあっと顔が熱くなる。
さらさらの細い髪に、触れたくなる。
「いいじゃない、ケチ〜」
そう言いながらぎゅっと力を入れてくる彼女が、ひどく愛おしい。
「キョウイチ…」
「ん?」
静かな声に、振り返る。
エメラルドグリーンが、切なさでくすんで見えた。
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