処女上等!
佐知子は曲とは裏腹に低いテンションで歌を消化する
合間に入る皆の合いの手が惨めさを増させた
微妙な空気が流れる中、博也の順番が回ってきた
しかし一向に曲は流れなかった
『あれ博也くん入れてないの?』
秋穂が言った
『いや…俺は…』
博也が返答に困っていると猛が代弁した
『博也は歌えないんだ。喉が悪くてさ…』
『え…そうなの。ごめん…』
秋穂が申し訳なさそうに頭を下げた
『いやいや、気にしなくていいから!』
『でも…だったらカラオケじゃなくて良かったのに!』
『ううん。俺のせいで…そーゆうの嫌だからさ!』
………