星の至宝〜神々の唄〜
目の前には、まるで赤みのない…いや、噛み締めた唇と、その瞳に紅を宿した女性が鏡に映っていた。


マリーは静かに息を呑む。

その姿は、普段自分が鏡の中で見ている、自分の顔にそっくりだったからだ。


普段は快活な光を宿しているであろうその瞳も、今は暗い光を宿すのみだ。


そしてそれは、全く女性にそぐわないものだった。


なぜならば、彼女が身にまとうのは、きらきらと純白に輝く花嫁衣装だったからだ。



「…イルバ…」



哀しげに呟かれたのは、先程見た男性の名前。



「ごめんなさい…」



そっとラウラの瞳は閉じられた。



マリーは、闇におおわれた視界の中で、確かに頬を流れる暖かいものを感じた。


なぜ自分は、この恋人たちのおそらく悲しい過去を見る必要があったのか。


マリーはそんなことを考えながら、再び意識が薄れていくのを感じた。
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