星の至宝〜神々の唄〜
その様子を見ていたシリウスは、やはりマリーは王弟の素性は知らなかったのだと確信を得た。


しかし、すでに仲良さげに話していた二人の様子から、果たしてそのことが障害になるだろうか、とも思う。


シリウスの目には、互いに相手に好意を持っていることは明らかだったからだ。



「マリー。私は殿下に話があるから、先に部屋に帰っていなさい」



はっと放心状態から我に返ったマリーは、お師匠様の方を見る。


そこには、真剣な目をしたお師匠様がいた。


長年暮らしていれば、相手の考えていることは大体分かる。ここは、本当に私にいて欲しくないんだ。


そう思ったマリーは、カイの方に、「それじゃあ、またね」とだけいって、その場を立ち去った。


あっという間に立ち去ってしまったマリーの後姿に、胸が少し痛んだカイだったが、「またね」ということは、自分に怒りを抱いているわけではないのだと思い、安心した。
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