星の至宝〜神々の唄〜

「ふふっ。名無しの権兵衛ってことかな？」



権兵衛という名をつけられたことにあまり動じていない様子の男は、すとんっとマリーを下ろすと、広場の方へと続く道を見上げた。



「ようやく、普通の道を覚えたのかい？子猫ちゃん」

「こ…子猫…。なんですか、それ！」



急に子猫ちゃんなどと呼ばれ、マリーは恥ずかしさのあまり、絶句した。



「いや～、君って、どうも昔飼っていた猫に似てるんだよね」



と、飄々と話す男に、


この人に正面から話したら、疲れるのはこっちだわ。


そう悟ったマリーは、「そ…そうですか」とだけ言うに留めた。



「今から広場に行こうと思ってたんだけど、君に会ったから君と遊ぶことにしよっかな」



そう言う男に、君で遊ぶの間違いじゃないのか…そう思ってしまうマリーだった。