星の至宝〜神々の唄〜
現在の巫女長は、ニルヴァーナといい、カイも昔から知っている老婆だ。


いつもにこにこと笑みを浮かべ、その周りには暖かな空気が漂っているようなその老婆を、ニル婆といって慕ったものだ。



「巫女が…となると、やはり今回の帝国の動きは気になりますね」



巫女たちが何かを感じるとき、必ず何かが起こる。つまり、今回もその何かが起こる可能性が高いということだ。



「ああ…。まあ、かわいい弟の顔を見に来たというのもあったのだがな」



ふふんと笑いつつそう言う兄に、もしかしたら自分を心配して会いにきてくれたのかもしれないと思う。


兄は昔から、自分の気持ちの変化に気づくのが早かった。



「まあ、なにやらおもしろい猫も見つけたことだし、来た甲斐があった」

「猫…ですか」



それ以上は何も言おうとしない兄に、そんなに猫が好きだったかとカイは首をかしげた。
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