蛙の腹
第8章 女は蛙A
バンバンというカレー屋でアジアンカレーを食べながら、最近身の回りに起きた出来事を彼女が話す。

「この前、会社で付き合いのある設計会社の人とゴルフコースを回ったの。」

彼女は僕の顔を窺いながら話を進める。

「へぇ、ゴルフやってたっけ?」

つい感心なさそうに僕は応えてしまった。

それを彼女に気付かれないように、彼女の目をつかまえて見つめる。

「うぅん、初めてやったのよ。ゴルフより緑でつくった自然が凄かった。」

「ゴルフはニュースでアイちゃんをとウメちゃんを見るぐらいで、パットゴルフもやったことないからなぁ。金がもう少し回ってくるようならやってみたいいんだけどね。」

ゴルフのことは知らないから、この程度のことしかいえない。

「それでね、ハンデをもらってやったんだけど、結局スコアは180を超えて、もう数えるのも迷惑かけちゃうから、途中で私だけ回るのやめちゃっちゃった。」

「楽しかった?そういえば、この前久しぶりに映画をみたよ。“雨のひと”って邦画だけど観た?」

「CMぐらい。」

「そう、観客動員数200万人を突破したらしいよ。劇場にもいろんな人が観に来てたもん。」

「観てないよ、ビデオになったら借りるね。」

二人とも話すことを話して口も笑みも少し疲れていた。
僕は、集中力を切らして、壁にかかっているインドネシアの絵を見つめている。

「甘いものでも食べに行こうよ。」

彼女が言った。
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