蛙の腹
幸太とは二つ前の会社での同僚。
歳は僕より上だが、友達みたいな付き合いを許してくれて気も妙に合うところがあって仕事以外でも付き合いを続けていた。

駅の改札を出てから呼び出す。
駅の周辺には半年前よりも飲食店が増えていた。
オープンカフェでPCをひろげて仕事する人、仕事帰りのOLが雑誌で時間を潰したり、それなりにビジネスマンが歩いていても不自然ではない風景がつくられていた。

「仕事畳めたの?」幸太さんに聞いた。

「また土壇場で仕事ぶっこまれて、またいじられてるよ。」

「また旨くこなして、やり切るでしょ。そういうの得意じゃん、やっつけ仕事。」

「お前に言われると、腹が立つ。」

「金もなし、ビール1杯ぐらいで飲んでいこうよ。」

「いいよ。」

近くの立ち飲みバーに入る。
店内はもうサラリーマンで埋め尽くされている。
ほんとに仕事してきた人たちだろうかと疑うぐらい、陽気に酒を飲んでいる。
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