蛙の腹
「お前、仕事どうした?」

「当然、辞めたよ。」

「やっぱりなぁ。まぁ、お前には合わないって。いったでしょ、もっと従業員がいて自由にやれるところじゃないとお前には勤まんないって。次は決まって辞めたの?」

「なんにも考えてないよ、まぁいいじゃん。こうやって生きてんだから明日もどうにか生きてるって。」

「軽いよなぁ。お前。まだ若いからそういってられるんだよ。まぁ、一つ勉強したと思えばまだ自由は許されるかな。」

たわいもない話を延々と繰り返し、何時あってもこんな話をする。
あたりまえのことをあたりまえに話す。
そして共感するように頷く。
それでいてもたってもいられなくビールを飲み込む。

誰もが同じ言葉の繰り返し。

「あぁ、どっかに時限爆弾をしかけて、パーッと盛り上げたいね。どっかの企業のプロモーションだったりしてね。」

「また馬鹿なことを言う。とりあげるのは業界じゃなく、報道ニュースになるだけだよ。」

大人な言葉を返してくる幸太。

「けどさ、なんにしても事件で人に注目を浴びるような情報を作り出さないと俺たちまで金が回らないよ。」

「だから、みんなせこせこ稼いでいるのよ。あっ、そうだ大久保に素晴らしく美人の韓国人がいたんだよ。見過ごしていたなぁ。今度、お前つれって言ってやるよ。」

「マジでっ、どんな感じ。誰似?」

幸太はまじめに考えている。

「ロングにした伊東みさき。また凄いサービス知ってんだよ。どこで勉強したのってぐらいに。」

「それはすげぇジャン。幸太も認めるスーパープレイ。これからもう一つ予定あるからさぁ、じゃぁ、来週ぐらいに。」

「あぁ、いいよ。けどそれまでお前、金使うなよ。」

「おごってよ、この前の飲み代。オレが幸太さんの分もったんだよ。」
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