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「あの・・専務さん、
会長はどこがお悪いのですか?」


「は!?」



"頭の中"に決まってる。

てか、お前も
本気で信じてンじゃないよ!

「メールに
老い先短か、もがっ・・」



俺は咄嗟に
シアの口を塞ぐしかない。

"ちょっと黙ってなさい"と
ばかりに目線を上げる彼女を
見下ろした視線で制止。



「差し出がましい様で
申し訳ありません。
何分、掛け持ちなので・・
一年事の契約なら無理なく
出来ると思いますが・・。」


「成程。では、シアさん?
それならOKして頂けます?」


こくっと頷いてる。
おっと、
手を放すの忘れてたな。



「私なんかで良ろしければ。」



何より
プレッシャーが心配だった。

責任感も強い方だから
・・無理はさせられない。



「いい土産が出来た。
私から伝えておきますよ。」



彼はにっこり微笑み、
机の上で本社へと帰り仕度だ。

鞄を持ち、俺達と一緒に
下まで降りてそこで別れた。

姿勢良く、歩いていく後姿。

それにしても・・
俺は内心ほっとしたんだ。
まさか・・
ここまでしてくれるとは。

だけど、会長め。

何が
"ジュード君には
ワシから言っておくから”
だよ。

いつ云う
ツモリだったか云ってみろっ。
オチャメな
顔文字まで入れやがって。

ふふ、妙な爺さんだよ・・。


「ジュードさん」

「うん?」

「もしかして、さっきの話は・・
内緒だったんですか?」


タクシーの後では会話が途切れた。
何て説明するか迷ったんだ。

確かにあれが本当なら、
大会社の会長だし
株の関係上もあるだろうから
迂闊に云ってはいけない。

だが、さっきのは・・ねえ・・?

学校では"泣き落とし"なんて
言葉は習わないのか・・な?






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