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「・・・"やっぱり"って
感じです。」


彼女がボヤキ気味に呟いた、
例の期日を過ぎた翌日の朝。

鏡の前、
徐々にお姫様になって行く
シアの様子を俺は
壁に持たれて傍で見てる。


「もしかしたら、俺もそう
来るんじゃないかと思った。」


二人の会話にクスクス笑ってる
女性のメイクさんと衣装さん。

小さくて可愛いティアラを
彼女の頭にくっ付け
落ちない様に細工をしている。


「ほら、
もう完璧に"親指姫"ですよ。」

「・・・・・・。」

「裾直しも終了です。」

「シア、こっち向いてみ? 
こらっ、口の力を抜いて!
撮影だと思って・・せーの!」



パシャ。

会長に写メを
送ってくれと頼まれてた。

彼女らも撮りたいって云うから
シアも渋々
赤い顔で小さく頷いてる。



「わー・・
シアちゃん可愛いいですよー?」

「・・・・有難うございます」

「ブログに使ってもいいです?」

「あ・・・、エエ。」



カイトからの頼まれゴトなので
一緒にPVの
撮影のスタジオに来ていた。



監督のスケジュールもあり、
この日一日で全てのお姫様を
使って1人1人撮影する。

本人には云えないけど・・・
ハマリ役。

中でもシアは俺の都合上、
朝早く"親指姫"に扮していた。

今は特撮用の
緑色のスクリーンの前で
デカイ作り物の
チューリップから出てくる所
から撮影している最中だ。


「目線はココね、
イメージ的にはこんな感じ。」


絵コンテを捲くりながら
助監らしき人に
指導をされているシア。

王子役であるカイトは
監督の後に立っていた俺の隣で
胡散臭い衣装のまま
撮影を一緒に見てた。



「何が良かったんだ?って
聞いたんだ。」

「なんだって?」

「白雪姫。」

「・・小人役に困っちゃうよね。」

「・・俺もそう云っといた。」



フルCGってワケじゃないんだから。



「ベイベー達・・!
美しいじゃないか!」


ざわつく声に振り返ると続々と
用意の整った
姫姿の女達が集まって来た。





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