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「人前でSっ気出すの、
良くないですよ?」
「女の子がそんな言葉
使っちゃダメだって。」
自宅に戻り、階段を上がると
屋上からいい匂いがしてた。
那須が
もう何か作り始めている様だ。
「お帰りなさーいって・・」
「怪しい親子みたいだよ
二人とも。」
そう、サクヤの云った通り、
狙ったテーマは"奇怪な親子"。
この変装ならバレかけたって
声も掛けられ難い。
「買い物行ったからさ。あ、
ワインと、ワインとワインね」
「すみません、遅くなって。
那須さん手伝いますよ。」
キャンプをしたことがない所か、
実物のテントを見たことがない
と云うシア。
ツアーに入る前の、
ちょっとしたお遊びに何とか
テントを建てアウトドア気分。
出来上がった
ダッチ・オーブンの料理、
買って来たチーズと共に
テーブルに並べる。
丁度いい具合に陽も落ち、
月が見えてきた。
「シアは最初の一杯だけね?」
「んじゃ、乾ー杯!」
飲んで騒いで、
軽いゲームをして。
彼女はけしてケラケラとは
笑わないが微笑んではいる。
一ヶ月前とは
随分変わったと思うんだ。
「二人目がジュード君で
良かったのかもね。」
那須と炭足ししてる彼女を
眺めながらサクヤは呟いた。
俺は新しい事務所の事、
会長の事も
彼に言って安心させる。
「俺ね、彼女に他の世界を
見せるのが怖かったんだ。
傷つくのも見たくない、
手放したくないって・・さ。」
「うん。」
「俺達は庇う事しか考えて
なかったんじゃないかって。
だから、もしもね? シアが
思うようなら、いつかは俺も
手放さなきゃなあって・・。」
「チャンス到来だ♪」
「あのねえ? 俺だってまだ
シアの心を掴んでないのに、
そんなチャンス、絶対!
あげる訳ないじゃん。」
だいたい、
いつまで狙ってるつもりだ。
ジイさんに
なっちまっても知らないよ?
それにまだ・・
彼女の中には
過去の男への想いが
燻ってるのも知ってる。
「なかなか
上手くは行かないよ・・。」