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・・・私は今、
契約者と隣同士で
後部シートに座って居る。
___ 珍しいお客様が来た
・・と思ったら、
いきなり契約を結ぶだなんて。
少しは長く傍に居れると
思ってただけに私は
ショックを隠しきれずにいた。
( 今は私が邪魔なんだ )
坂巻が連れてきた彼は、
"Jude"<ジュード>と云う名の
アーティスト。
ヒップホップの様なラフな
スタイル、長身、細身、
白っぽい肩に届かない金髪。
ロック界のビジュアル系で
これほど文句付け所のない
容姿の人を見た事がない。
サングラスの下に薄く見える
微笑みは
大天使の様に美しかった。
髭など
生えないんじゃないか? と、
疑ってしまう綺麗な白い肌。
きっと
女性ホルモンの方が多いんだ。
テレビは殆ど見ないから
良くは知らないが、
彼がバックを頼まれる位だ。
事務所の売れっ子には
違いないのだろう。
かと言って
興味は涌かなかった。
気になったのはさっきの、
私へのあの視線だけ。
ずっと彼と話をしながら、
此方を見ていたので微かな嫌な
予感はしていたのだけれど。
一体どうやったら、
坂巻はずっと私を
傍に置いてくれるんだろう。
サクヤが云ってた。
"多分、
本人にも解らないよ"って。
本当には
愛してくれなくてもいい。
私が傍に居ない間・・
少し寂しいとか、
その存在を
愛おしいと思ってくれる、
・・そんな
一瞬があるのなら
それだけでも嬉しいと思うのに。