＋ ｍｉｓｓｉｎｇ-ｌｉｎｋ ＋

"悪い恋をやめてしまう事"
"いい恋をする事"・・


「"悪い恋”なんて
ないと思うけどね」


私を寒がらせない様に
ベッドの中で
腰を抱き寄せてから云った。



「どんな恋もさ・・?
次の自分への投資だったと
後で納得できりゃ、それも
"いい恋だった"に
変わるじゃない。」



私の髪を撫で
梳かしながらの優しい声。

今考えても解らなかった。

坂巻の・・ただ傍に居て、
名前を呼ばれ、
見つめて・・
筋張った手でさらりと
頬を撫でて貰うだけで
十分に幸せだった。

彼が私を抱く様になって
からもそれは変わらず・・
ただ、寂しさは増した。

私に気持ちがなくてもいい

一度でいいから
朝まで一緒に
眠って欲しかった。

今夜もちゃんと
眠ったフリをするから・・
ご褒美が欲しかった。

"愛してる"って嘘が。


結局はそれが、
私があの人に言った、
最初で最後の
我侭になったけど。



「綺麗になったら・・もう、
置いて行かれる事も
なくなりますか?」

「・・・あのね、シア。
内も外も綺麗な人ってのは
引力があるんだ。」


「・・どんなです?」

「この人の傍に居たいって、
思わせる様な?
お前にはそう云う所が
チラチラ見えるのに。」



私の目の前で、
しなやかな指を折って
数え始めた。

彼が上げていった
名前は、自分も
考えなかった人達ばかりだ。



「で、最後に一番お前を
愛してる"俺"ね。シアは・・
自分を知らなさ過ぎる。まず、
怖がらずに
もっと人に接してごらん。」



そう云いながら、
体に巻き着き、
向かい合わせのまま
眠ろうとする。


「あったかいし、柔らかい」


引き寄せられるまま、
何だかいい匂いのする胸に
顔を埋めた。


"いい恋をする事"　
彼は推奨してる。



「ジュードさん」

「なに?」

「師匠って呼んでもいいですか?」

「・・休憩終了。」

「ええっ??」



Ｓの血を
呼び覚まさせてしまったらしい。

あんな恥かしいこと
・・スルなんて。