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「_______ 聞こえたか?」



耳をくっつけて聞いていた
私の所に死神は
ヤンキー座りで訊ねている。



「それに・・見えました。」


「そりゃ魂がキレイな証拠さ。
しかし酷ぇな。お前のお陰で
俺は"ロリコン"呼ばわりだ。」


「ふふ、すみません・・。」



私を立たせてから
ぱふぱふ、パンパンと手で
ホコリを叩いてくれている。

いつもそうだった。

チョーカーの後を留めて
くれたり、捩れを直したり。

ライトの電球を取り替えるの
にわざわざ肩車してくれたり。

彼にとって
私とは何だったのだろう・・。

拾った猫? それとも妹?

でも、それだったら
あんなにも激しく・・
抱きはしなかったろう。



「お前はまだ
お呼びじゃねえのさ。」

「私が死ななかったら・・。」

「心配すンな。
ちょっとした手違いがあってな。
俺はその修正を
しなくちゃなんねえんだ・・。」

「・・・?」



私のぶらついていた手を取る。
そして腰を抱いて引き寄せた。



「お前はもう・・何の
犠牲にもならなくていい・・。」



耳元で死神はそう囁いてる。

踊る・・までは行かない、
スローな揺れ方・・。

私の好きな曲を彼は口ずさむ。

顔を埋めたまま
死神の暖かさに取憑かれてた。



「解ってる」

「え・・?」

「お前と云う女を・・さ?
愛せた俺は・・幸せだったんだ。」



心の中まで見えてしまうんだ。

私はこれで・・その言葉だけで、
もう成仏できそうなのに・・な。



「バーカ・・。
コラ、鼻水つけるなよ、
次の当番がまた着るんだから。」


「・・・・ふふ。」



此処に
時間は流れていないそうだ・・。




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