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カタカタと揺れる体、
この震え方は?


「シア・・? 
ひょっとして寒いの?」


彼女が勢いよく頷いたので
俺は慌てて彼女を風呂場に
連れて行った。

兎に角、
彼女だけでも暖めてやらないと。

服を脱がせ、手を貸してやり
浴槽に体を沈めさせる。


「そっと・・
ゆっくり浸かって・・。」


どうしてこんなにも
唇が青褪めているんだろう。

本当に何処も
悪くないんだろうか?

俺はパンツの裾を捲くり、
まだ濡れていないイスに腰掛け、

彼女の首へゆっくりと洗面器で
お湯を掛け流してる。


「私を殺させて、あの男を・・」


お湯の中を見つめて、
突然彼女がそう話し出したのだ。



「法的に罰して貰いたかった・・
社会的に葬ってやりたかった。」



どうせ
そんな所だろうと思っていた。

自愛も足らない・・
俺への愛も足らない・・

いや、それ以前に
シアは愛し方自体解ってない。

それを教えなかった男へ
自己犠牲を何とも思わない
義理の娘からの復讐だったのだ。

俺は思わず淋しい笑みで
彼女の頬を指で擽っている。



「もし、それでお前が死んでたら
俺がヤツを殺してしまうだろう
とは・・考えなかったの・・?」

「・・そんな事、しないでしょ?」

「殺意は十二分にあったよ・・。」

「・・・・・。」



三角座りした湯船の中、
口元まで浸けて膝を抱えてる。

俺はエクステの長い髪を束ねて
持ってやったついでに・・
後頭部を手で寄せて顎を軽く摘む。

出来るだけ長いキスがしたかった。

今後、俺と云う男を
忘れささない様に・・。





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