+ missing-link +
(そんな俺って・・可愛い。)


大型のスーパーで
ラフィをバッグにぶら下げて。

サムゲタンの材料、牛乳、
そして
無印の鍋や食器を買い込んだ。

・・1人の女の為に
Judeでなく、柔人に戻って。

今、俺にしてやれる事は
何でもしてやりたかったんだ。

俺はもう27だけど、
こんな気持ちって・・
高校生以来なかったと思う。

この世界に入ってからの
恋とは別格だった。

シアを失いそうになって
改めてまた
そんな事を自覚していた・・。


"あの傷に嫉妬した"


坂巻の言葉を思い出す。

そう・・あの男でさえ、
シアは自分より過去に
心を奪われていると思ってた。

彼女を愛した男にずっと付き
まとう"苦悩"なのかもしれない。

だけどさあ、坂巻さん・・。

こんな俺達だから、きっと
彼女に無償の愛を注ぐんだろうね?

俺はそう思うよ。



『・・只今、臨時ニュースが
入りました。先日、
タレントのSiaさんを襲った・・』



レジを終え、カートを押して来た
頭上のテレビモニターからの声。

俺も周りの一瞬そこを見上げてた。



『隙をついて逃走した模様・・』


「・・・!」



警察は何をやってるんだ・・!?

俺は凍りついたのも一瞬、急いで
駐車場に走り、彼女の元へ戻った。

前のマンションとは違い、
駐車場は勿論
エントランスには指紋認定か鍵で
入れるようになっている。

俺がほっとしたのは、既に警護の
パトカーが入り口に待機していた。

エレベーターを上がった所にも
私服警察が2人立っている。

彼女の部屋の前に行った俺にも
目つきを変えたので俺はラフィを
指差し、帽子とサングラスを
彼らの前で全て外して見せた。

威信を掛けて
被害者を守るつもりらしい。

頷く2人を見てから
一旦荷物を置き鍵で部屋に入った。

ラフィを出して降ろしてやり、
俺は二階へそっと上がる。

ポカンと口を開いて熟睡してる
彼女にそっと近づいた。

暖かいベッドのマットにべったり
くっ付いて気持ち良さゲである。


(大丈夫、ゆっくりお休み。)


< 189 / 332 >

この作品をシェア

pagetop