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クリスマスの朝。


「東洋のリリアン・ギッシュ?」

「なんや、知らんのん?
リリアン・ギッシュって確か
百年位前の名女優さんやんか。」



とあるドッグ・カフェで
柘植くんと朝食をとっていた。

ラフィと彼の愛犬・レクタと
ドックランで遊ばせながら、
新聞を手に首を捻っていた私。

昨日、日本でもメディアだけの
試写会があったそうだ。

その言葉は、
何処かの監督が云ったらしい。




「勉強不足だ・・」

「ほんまになぁ・・
シーちゃんにそんな才能が
あったとは・・嘘みたいやわ。」

「どんな人・・?」

「うーん・・。
白黒やけど、目が凄ーく
印象的なべっぴんさん。」

「エッ・・・。」



そんな人に例えられるなんて、
大袈裟な・・。


「「・・・?」」


まだ朝も早いのに、何だか
今日はお客の集まりが早い。

柘植くんはここの常連だから
その異変に先に気付いた様だ。


「シーちゃん・・アレ・・。」

「ん?」


こ、怖っ!!!

ドッグランのフェンスに
人がいっぱい張り付いてる!?


「Siaちゃーん・・。」

「・・・!」


ちいちゃい子供さんが
蚊の鳴くような声を
恥かしそうに掛けてくれた。


「ごめん、
ちょっと待っててね。」

「ふふ、ええよぅ。」


そう彼に断ってから
フェンスに近づいて行った。


「おはようございます」


挨拶をして、
女の子の前にしゃがみ込むと
親御さんはなぜか慌ててる。


「声掛けにきてくれたの・・?」

「うん・・。」


私以上に照れてもじもじ
クネクネして可愛かった。


「あの・・、
家族でファンなんです。
がんばってくださいね・・!」


と、
その子のお父さんらしき人。
家族でファン・・なんて。

涙腺がジンワリ・・。



「あ・・そんな・・。」




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