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クリスマスの日に暇してる
芸能人って殆どいないのでは?

柘植くんも仕事に行ったし
ジュードさんはアジアツアー、
那須さんもライブだし。

皆とはジャンルが違うから
そこは考えない事にしよう。

現実はそんなに甘くはない。
出演させて貰った映画の評判が
良くても、
まだ一般公開はされいないから。

シーグラスでさえマイナスの
イメージが定着した私を使う
事に抵抗を感じている様だ。

それでも・・私は自己満足で
一本の素敵な映画に出させて
貰ったと云う事に感謝してる。

やれる事はやった・・つもり。
もう、考えても仕方ない事だ。

時間はまだ10時を回った所。
昼間に街をテクテク歩くのも
本当に久し振りだった。

ただし、歩くと寒くて
私もラフィも急に陽が翳った
せいでくしゃみを連発させた。

普段、車で移動ばかりしている
から体が軟弱になっている。

低体温だった事を思うと、
勿体ないどころではない。
タクシーを拾おうかと思って。

大通りにタクシーは通ってる
と云うのに"犬ずれ"だから?

手を上げても止まって貰えず、
諦めて手を下ろして歩き出す。


「HEY!」

「?」


あっ、止まってくれたんだ?

振り向くと黒いタクシー・・
運転手は黒人の男の人だった。


「・・・・。」


リムジンを止めた覚えはない。
あまりの長さに、ポカーン。

すると中から品の良さゲな
おばあさんが降りていらした。


「初めまして。どうぞお乗り
下さいと申しておりますので。」

「・・・・・?」


ドキッ・・、窓が空いた・・。

ノーネクタイの白人男性が
指をチラチラ、微笑んでいる。

髭面の、
グレイッシュ・ブルーの瞳が
ダンディと云うか・・。


「・・神のお導きかな?」



彼はニヒルに笑って云った。
どこかで・・見た気がする。


「今日はこの近くにある映像
技術学校に特別講師として
お招き頂いておりましてね。」


品の良いおばさんは通訳で、
名刺を先に渡されてから背中を
押されて乗せられてしまう。


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