+ missing-link +
リムジンなんて初めて・・。

落ち着かず、
緊張してついラフィを抱えた。


「アマミは、マ・ブぅ・ダチ。」


アマミはマブダチ。
天美監督のこと??

ワルノリした監督が
教えそうな日本語である。


「コレ、アナタ?」


メディア向けの、
ソウル・ブルーのパンフ。


えっ?


彼が次々と出して私に見せた
初めて見るグッズの数々。

非売品ポスターに、
何故か?下敷き、ウチワに

それはフィギュア?
"あさぎ"であるのに驚く。

って云うか、そんなグッズが
あるとさえ知らなかった・・。



「彼はマニアなんです」



と、にっこりおばさんが言う。

すると何?
私は外人系オタクの
車に今乗ってしまったの?

でも・・そのグッズ、
メディア用なんだっけ?


「フィギュアはね? さっき、
届けて貰ったばかりで。」


そんなクリエイターがいたとは。

挙句、そのナイス・ガイは
携帯で電話し始め、
それを私に手渡したのである。
恐る恐る、電話に出てみる。



『元気かい? 』

「監督? どう云う事です?」

『君を気に入って久し振りに
連絡をよこして来てね。』



昨日、メールしてた。
彼にはプライベートな事も
話ししていたから・・
お墓参りの事をバラしたんだ。


『拾えて良かった。
悪く思わないで、彼と食事に
付き合ってあげなさいよ、ね。』


忙しいからと一方的に
電話を切られてしまった。


「サー、ナニタベタイ?
フレンチ? イタリアン?」


この人は
ランディ・コルドマン。

今は映画監督として
大成功しているとか。

まったく狐につままれた気分。

監督にそう云われたんじゃ
断りようもない。

フレンチは苦手なので、
イタリアンにして貰った。

どこかで見た筈である。

俳優として有名な映画にも
出ていた人なのだ。

話は聞き取れるが
会話はなかなかできない。

ホテルの高級そうな
レストランに着いた。

彼が云った不可解な言葉。



「やっと会えたね、
僕のプリティ・ヴァンプ・・。」



< 216 / 332 >

この作品をシェア

pagetop