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『いやぁ~、参りました。
愛の深さを知りました・・。』

『ホント、凄かったです!
ホント、来て良かった!』


マイクを向けられているのは
ホテルから出てきた素人・・。
つまり株主たちだった。

皆、惚けていたり
興奮してたり、・・感動する
映画でも観てきた後みたいに。


『お聞きの通り・・
あっ、関係者の様です、
ちょっと聞いてみましょう。』



俺とシアは専務が帰った後、
俺がいれたコーヒーを手に
リビングでテレビに釘付けだ。


「い、衣装さんだ。」

「泣いてますね・・。」


インタビュー寸前に白い手袋の
警察に呼び止められてる。


『あー! ちょっと、ソコの人!
着物持ってっちゃダメよ!』


ああ、そっか。習慣だな。

あの着物は証拠品として
押収される。・・オイオイ!

警察は畳んで渡された着物を
その場で広げやがったんだ。

おー・・、と驚愕の声と共に
一斉のフラッシュを浴びてら。

目立ちたかったンじゃない?


『事件の壮絶さを物語って
おります・・凄まじい穴です!
ご覧頂けましたでしょうか!』


アンタの声の強弱の方も負けて
ないと思うなあ・・。

さすが大ベテランリポーター。


『・・大丈夫ですか?
Siaさん、ご無事で
安心されたんですよね?』

『ハイ』


あれっ? 今うしろ通ったの、
那須じゃない?


『うっ、良かったシーちゃん、
良かったよぉお・・。』


泣きじゃくって他のメンバー
からヨシヨシされてるし・・。



『あっ、あれは!
ちょっとお話を・・!!』

『ヤベエ、障子さんだ!!』

『ナスティ、もー泣くな!
イメージダウンになるっ! 』

『逃げろ!!』

『ぁぁ! 待って!』



・・何やってんだ、アイツらは。

相変わらず
コント集団みたいなバンドだ。

てゆーか、那須のやつ、
此処に来るって行ってたのに。



ピーンポーン・・・



「那須さんかな・・はい。」

『うっ。シーちゃん、
良かったよぉおっっ・・。』




・・・・・・もー、いーだろ?





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