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「モーニン?」

「・・・・・・。」


翌朝のキッチン、
手を上げてチラチラッと
指で挨拶したのに
口も利いてくれなかった。

多分、
十年分は笑わせたお陰か
その顔からは
生気が抜けきっている。

ぼーっと部屋から
起きてきたと思ったら、

立ちんぼでコーヒーを
飲んでいた俺に

クルッ・・!
っと、猫の様な警戒の眼差し。

パジャマ姿で
後ろを気にしながら
顔を洗いに行ってた。

ちゃんと戻ってきた時には
カフェ・オーレに
しておいたのに無表情で、


「ありがとうございます」


って・・・それだけ。

俺は頬杖を付きながら
彼女を正面に座って見てる。

比較的、
急いで飲み終えてから
クスリを取り出して二粒
水で流し込んでる。

_____ アスピリン系だ。



「笑うとホルモンの分泌が
活発になってイイ女に
なれるんだよ。知ってた?」

「____生理じゃないです。」

「えっ?」

「頭が痛いから・・。」



擽り過ぎて、
首とか肩にイラン緊張を
与えたのかもしれない。

ただでさえ、
彼女の場合使わない筋肉だ。



「ああ、ゴメン、悪かったよ。」



思わず苦笑しながら
絞ったタオルをレンジでチン。
広げて首にあて、
揉み解してやった。

ドSの俺も満足したし、
このくらいの
罪滅ぼしは仕方ないな。

見たくなったんだ。
スゲエ笑った顔。

でも今日これから、また・・
彼女の顔が
曇るのかと思うと憂鬱だ。



「ねえ、シア?
雇い主の言う事、
聞いてくれるんだよね?」

「・・・なんでしょう。」



彼女にとっては・・
辛い事を俺は今、
口に出そうとしている・・。




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