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『繋がらなかったから』


一緒にいるんでしょ? と、
言うサクヤから始まって
次々と携帯に入ってくる電話。

ああ、ラフィが踏んだのか
コンセントのランプが消えてる。

彼女が俺の携帯で話している
間、留守録の登録ボタンを押す。

もー、邪魔はさせない。


「・・よし。」


時間ギリで録音し終えた時、
彼女もやっと天美監督の
お小言から解放された様だ。


「函館からですって」


その夜、公表されたシアの
コメントを聞いたのだろう。

苦笑いを浮かべただけに留まる。


"お恥かしい事に・・考えて
やった事ではありませんので"


女優は失格かもしれない

だが俺はシアのその言葉に
心が・・奥底から
震えるのを感じていた。

そう、俺達は愛を超えた所に
いるって・・痛感したんだ。


「此処にいて」


灰皿を用意してくれた彼女の
手を取り、ソファに引き寄せた。
寝そべったまま背中を抱く。

リモコンを置いたシアの唇を
強引に奪い盗りながら頭の隅で

あの映画評論家は

"バカな女よネ"

とでも言うだろうか?
そんな事をふと思う。

誰と限らずシアを愚弄するなら
絶対タダじゃおかない・・。

俺はとことん闘ってやる。


「待っ、ここじゃ・・」

「解ってる」

「ウ・・ソ・・ァんんっ」


覆い被さって服を脱がそうと
する俺の腕をギュッと掴んだ。

美しいままの肌、
首筋から鎖骨を口付けながら

シアが無事でいてくれた事を
神に感謝していた所だった。



プルルッ♪


部屋の電話が早速鳴り出す。
勿論、もう留守伝である。


『お電話有難うございます。
只今、営業時間外により
愛をヨリ!・・深め合っております。
今日の所はどうぞご遠慮して頂き
後日お掛け直し下さい。』



「・・えッ!? いつ・・アッ
止め・・て、ジュードさ・・
・・はぁッ、だめで・・す!」



ピーッ・・!


『今直ぐ・・! 電話に
出て貰えませんかね・・・?』


「「・・・。」」


ま・さ・か、
第一号が恩田専務だったとは。



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