＋ ｍｉｓｓｉｎｇ-ｌｉｎｋ ＋

「え? そうなんですか?」


監督から事務所に電話が入り、
撮影が少し延期になると
伝えてきたらしい。

何でも今更
脚本家とトラブってるとか。

もしや金銭面?
最近のハリウッドって役者の
ギャラより脚本が高いそうだ。

アクター自らが海外映画や
昔の映画などのリメイク権を
取得したって話も良く聞く。

はたまた、監督の我侭で
急なキャストの増員?

それとも単純に
〆切りに間に合わなかったか。
どの道、そんなところだろう。


『心配要りませんよ、
日本に居る間の予定はもう
すっかり埋めましたから。』

「あー・・・。」


テンション下がった返事。
まあ何を言われているかは
想像が付くけどね。

シアが感じている通り、

恩田さんも最近ではすっかり
業界人らしい顔になってる。


「なんか不安・・。」


置いた受話器にシアは視線を
落としたまま呟いた。


「大丈夫だよ、
で、どの位伸びるって?」

「早くて一週間、
長くて1ヶ月ですって・・。」


アバウトな事しか解らなくて
不安になるのも無理は無い。

何気にソファから立ち上がった
彼女の手をキャッチ、
二階へ引っ張って上がっていく。



「だったら暫く一緒に居られる」

「ベッドの上でだけですか?」

「どこに行きたいの?」

「○×▲☆＄□◎♯・・・」

「いいよ、はっきり言って。」

「ディ・・、んむっ・・ァ」



皆まで言うな・・!
黙らせたい時はこれに限る。

なーんでアンナ所に
女は行きたがる?

着ぐるみと長蛇の列、
人ゴミだけじゃないか。

俺達がベッドに雪崩れ込んだ頃

一階の郵便BOXで
何かが起ころうとしているのも
知る由もなく・・