+ missing-link +
彼女が出掛けてから
コーヒーの入ったマグ片手に
テレビのスイッチを入れた。

状況によって今日彼女は
アチコチで
追い回される事になるだろう。

俺がソファに座ると
ピョンと乗っかってきた
ラフィを撫でながら各局の
朝の番組をニ画面で見てる。

昨日は号外が出たらしい。
その様子から映っていた。


『異変を感じたSiaさんは、
瓶に入った液体を見て咄嗟に
彼を庇ったそうです・・。』


現場にはまだ入れないんだ。
見取り図のパネルを使ってる。

立体のシアの全体像を出し・・
あーあ、本人が見たら凹むな。
あの映像は大阪で撮った奴だ。

身長145cmのおチビだって
アカラサマに公表されてた。

オマケに禁句連発。


「「「 小っさ!!  」」」



しかし独自の取材だろうが、
感心するほどよく調べてる。

実際にあった事を細かく
リポーターは説明していた。


『果たしてですよ・・?』


コメンテーターはみんな
声を搾り出して唸ってた。


『自分の恋人が同じ目に合い、
同じ行動が取れるか・・って、
聞かれたらねェ・・?』

『・・自信ないですよね。』

『だけど、ジュード君も
男冥利に尽きるわよネ・・!』

『ドロドロとした話が多い中
危険ではあったけれど・・
久々にいい話を聞きました。
本当のファンなら見守って
あげて欲しいものです・・。』


記者会見もせず
コメントだけで済ませた
シアの本意は誰も知らない。

だが、
そう纏めて云ってくれた司会者に
俺は思わず拍手をするのだった。




< 293 / 332 >

この作品をシェア

pagetop