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「・・オーディション?」


その昼前
とあるスタジオで出番待ち、

俺はその話を某歌番の前室で
他の共演者から聞いたんだ。

立って煙草を吸っていた
マネージャーをつい睨む。
もろ、"バレたか"って顔だ。


「なんでその話、
俺の所には来なかったの?」


「・・身長でまずアウト、条件は
175cmまでって書いてあったし、
急募だし、ツアーに入るでしょ?」


「ふーん・・。」

「それに、チョイ役らしいよ?」



面白くなっ・・。

シアの相手役のしかも
ビジュアル系イケメン?

・・・俺以外の?
・・・聞き捨てならん。

スクッと立ち元木の奴に向かって
行くと慌てて咽返ってる。


「ごほっ・・怒らないでよ、
絶対悔しがると思ってこれでも
気を使ったんだからさあ・・!」


「・・・・別に。」


俺は悔しくなんか・・ない。

ただ、なんで対象が
ロック・アーティストなのに
映画にだってドラマにだって
出たことのある俺が対象外?


「「「「 あ・・・。」」」」


傍に立ってた奴等はそそくさと
煙草を消して散らばって行く。

俺は怒ってない。
大人なんだから。

ふーっと煙草の煙を吐き・・


「火、まだ着いてないみたいよ?
(それに煙草も逆さまだし)」



俺が元木マネージャーを
即ボコりにしたのは
もちろん言うまでもなく・・。


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