＋ ｍｉｓｓｉｎｇ-ｌｉｎｋ ＋

・・京都に着いてから、
タクシーを待つ間
イギリス人の若い方の俳優
ザック・ヴィンセント曰く、


『なんで
撮影が遅れたか知ってる?
新キャラが1人増えたってさ。』


監督が帰ったのはトラブルと
言いつつオーディションを
やっていたらしいのだ。

顰めた端正な顔を近づけて
シー・・だからね!!
とか云って指を立てるけど、

言いたくてしょうがなかった
って感じにも見てとれる。

他のメンバーは知ってたんだ。
なんで私だけ?

それに
お次はどんなモンスター?

だってもう
たいがいは揃ってる。

ザックは狼男を演じてた。
もう1人はフランケン。
ミイラ男も、ゴーゴンもいる。

あっ! 解った。

私のお父さん吸血鬼は最後
母親を探す旅に出てったんだ。

そのお母さん役じゃない?
じゃなきゃ・・狼女とか。


『君はここから別行動だよ』

「えっ?」


鴨川沿い近くで歩いてて突然、
向こうのスタッフに言われた。

だってまだ一時間も撮ってない。
キョトンとしていると

何故か恩田さんや
うちのスタッフまでが
知らんフリでゾロゾロと
上へ上がって行ってしまった。

私1人と撮影隊を置いて
何を撮影するというの?


「あと一人共演者が来るので
そこに座って待っていて下さい。」


カップル達の"十間隔"から少し
放れて川べりに腰を降ろす。

撮影隊に囲まれているから
何も心配はないといえば無い。


「・・お腹減ったかも。」


密やかに小さく愚痴ってみる。
誰の企画? 何の為?
そう思うと・・テンションサゲ。

でもぽかぽか陽気。
後からしかカメラは回ってない。

油断するとカナリ危ない体制で
膝を抱え、つい・・
こっくりし始めてしまう。


「ハロー・・シアちゃーん?」

「・・? 」


声に振りむけば、その人ごと
カメラに収められているので
思わず、寝起きバレバレの
ポカーンとした顔で見上げてた。


( なんで・・こんなトコに? )


「初めまして。シュン役の
熊谷禅です。ヨロシク。」

「よろ・・しく・・」


・・・初めまして??