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「!」

「で・・? どういう事?」


俺が帰ったと
思って油断してたのか?

ドアを開けて入ると湯船の細い
肩がビクりと動いて波が出来た。

俺はいつも通りシャワーを
浴び髪を洗い始めてる。


「愛してもいない男を女優生命
掛けて守ってくれたの?」

「・・・・。」

「俺は信じない。」


硬めのボディスポンジで石鹸を
泡立てながら彼女を見下ろした。

反論を考えながら醒めた顔だ。


「ジュードさんは、私を坂巻から
預かったと云う責任感だけで
"錯覚"してると思います・・。」

「おめでたい女だね、お前は。」

「・・え?」

「坂巻と俺との間に
どれほどのものがあったっけ? 」


言葉を失ってる。
最初、俺があの男を敵視していた
のをシアは良く知っていたから。


「友情でもあれば話は別だけど」


全て洗い終え、泡を洗い流すと
湯船に足を入れた。

同時に立ち上がるシアの腰に腕を
回して・・もう一度浸からせる。

俺に触れるのを避ける様に
向かい合わせになると膝を立てて。


「愛してしまったから奪った・・。
それだけじゃ言葉が足りない?」


俯き加減の彼女の顎を指で上向きに
して俺の目を捕らえさせた。

何か、あったんだろうとは思う。
困惑の表情を隠しきれてない。


「私・・ジュードさんが他の
女の人とHしてるの、知ってます。」

「・・・いつ?」

「私の居ない所で。」


誰かタレ込んだか?
遊びだからゴムくらいツケてるし、
どれも本気じゃない。


「浮気したって、怒ってるの?」

「浮気なんて・・私たち別に
付き合ってる訳じゃないから・・
怒る権利が私にはありません。」


シアがこう云うのは、
俺が世間で決った彼女は作らない
と公言していたせいだ・・
これは仕方ない。


「怒る所か・・もう悲しめない
自分に気が着いたから・・。」


悲しめない=愛してない・・か。
なるほどね・・。


「そう・・。解った。」

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