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彼女は冷めたというより
醒めたんだろう。

何があったかなんて
もう聞いても無駄だな。


「でも・・俺達、
"超えた所"に居たんだもの、
友達ではいられるよね・・?」

「・・・・ええ。」

「あがろうか」


無理に笑ってシアの手を取り、
立ち上がらせてると・・
裸のまま抱き締めてしまう。

友達になったらもう・・
こんな事もできなくなるだろ?

冷たい耳がお腹に当たる、
彼女もまた・・
泣きそうな顔で
ぺったりと張り付いていた。

夢にも思わなかったな、
今朝まではあんなに
ラブラブだったのにさぁ・・。


「じゃ、俺帰るね?
戻る日が決ったら電話頂戴。」

「ふふ、考えておきます・・。」


お風呂から上がった俺は
帰り支度を済ませた。

玄関に立ち、抱っこされてる
ラフィの頭を撫でて。
シアの額にキスを落とした。


「ナニ? 何のDVD?」

「ジュードさんが
持っていて下さい。私には
必要ないものだから・・。」

「ふぅん? それじゃ、またね?」

「気をつけて・・。」


泣く様に笑う痛々しい
彼女の頬を
軽く抓ってからドアを閉めた。

こう云う時はあれこれ
未練たらしくするものじゃない。

誰がチクッたかは知らないけど
普段なら人に言われたくらいで
信用する様な彼女じゃない。

余程
決定的な何かがあったんだろう。

俺が悪いんだ、解ってる。
悲しめなくなっただなんて
こっちが悲しくなっちまうよ。


「ごめんよ・・
My Thumbelina・・」


パーキングの車に乗り込み
受け取ったDVDケースを
助手席にぽんと放り投げる。

溜息をひとつ、天上を仰ぐ。
そして・・やっとキィを回した。


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