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こんな短い数秒で色んな事を
考えている。

今は淋しいだけだ、
きっと・・心が弱ってるだけ・・

その証拠に
優しい唇に触れられた途端
胸の奥が焼けるかに痛んだ。


「・・・・!」


舌がそろりと唇を割ろうと
した時、その痛みはピークに
達して・・私に熊谷の胸板を
両手で押し返させていた。


「ゴメン」

「・・・いいえ、私こそ」

「眠れそうにないなら・・
あの中の1人に頼んでみる?」

「・・・え?」




そこからの記憶が___ない。





朝、目覚めると服を着たまま
ベッドに潜り込んでいて・・

不安になって下に降り、
玄関を見に行った。

チェーンも掛けられていて
ちゃんと戸締りは出来ていた。

気持ち悪い・・・。
脳の一部を切り取られた
みたいな感覚に陥った。

何かされた?

下着もそのまま、
シャワーを浴びて
おかしい所がないか確認したが
なんら変わった事はなく。

ラフィだっていつも通り

"オハヨーごはんちょうだい"

って、足元に来ている。

宇宙人にでも攫われたの?
って突飛な事まで思ったり。

お酒は一滴も飲んでいない。

そうだ、熊谷に聞けばいい。
そう思った矢先・・

インターホンが鳴った。


ドアを開けるとにっこり微笑み、
ドーナツの箱を
持って立っている熊谷・・


「・・・禅さん。」

「おはよう、シアと一緒に
食べようと思って買って来た。」


別の意識が、私をとても
幸せな気分にして微笑ませてる。


「嬉しい・・、上がって・・?」






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