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『・・・貴方たちは
一体どうなってるんです?』
「・・・彼女は?」
『CM撮りの最中ですよ。』
シアの部屋の合鍵の事で悩み、
彼女の帰宅時間を専務に電話
して聞いていた所だった。
『・・記者会見は?』
「ええ、観てましたよ。
隣人の熊谷禅だなんてね。」
あの役を射止めたのが彼だとは。
更に俺を驚かせたのは次の
彼の言葉である。
さすがに我が耳を疑った・・。
『射止めたのは役だけじゃない、
シアさんごと・・。』
「え・・!?」
専務が言うには巷では
どうせ映画の宣伝だろうと
言われているが一部マスコミは
もう既に嗅ぎ付けていると言う。
『向こうの事務所にはもう
これ以上の事は何も言わせない
様に交渉だけはしてあります。』
映画の宣伝だと
思われている間はいい。
だが、シーグラスとしては
"俺以外の男"と噂が出るのは
好ましいことじゃないんだ。
あの美談によって彼女の仕事が
増えているのは確実だったから。
まして
相手もロック・アーティスト・・
それが噂になれば
何を叩かれるか解りきっている。
・・・俺と縁を切ったのは
彼が居たからなのか?
幾らなんでも急すぎたものな。
俺のお遊びが
原因でこうなったんだ。
文句を言えた筋合いではない。
「合鍵、返しに行くからって
言っておいて下さい。」
『・・・、了解。』
その日の夜、7時頃。
俺は仕事を終えて
直接、彼女の所へ行った。
インターホンを鳴らすと
ドアが不用意に開いて驚いた。
「やあ。」
「ああ、居たの?」
禅は悪びれた様子もなく、
俺に屈託なく笑い掛けた。
「彼女は?」
「シアは今お風呂。」
シア? もうそんな呼び方?
俺はふと、この男に
合鍵を渡すのが嫌になった。
「じゃ、また今度来る。
仕事帰りに寄っただけだし。」
「そう。じゃまたね?」
カチーン。
いちいちカンに触る。
愛想よくドアを閉めやがった。
彼女が風呂から上がったら?
・・想像するのも嫌だった。
つくづく、俺って勝手な男だ。
一体どうなってるんです?』
「・・・彼女は?」
『CM撮りの最中ですよ。』
シアの部屋の合鍵の事で悩み、
彼女の帰宅時間を専務に電話
して聞いていた所だった。
『・・記者会見は?』
「ええ、観てましたよ。
隣人の熊谷禅だなんてね。」
あの役を射止めたのが彼だとは。
更に俺を驚かせたのは次の
彼の言葉である。
さすがに我が耳を疑った・・。
『射止めたのは役だけじゃない、
シアさんごと・・。』
「え・・!?」
専務が言うには巷では
どうせ映画の宣伝だろうと
言われているが一部マスコミは
もう既に嗅ぎ付けていると言う。
『向こうの事務所にはもう
これ以上の事は何も言わせない
様に交渉だけはしてあります。』
映画の宣伝だと
思われている間はいい。
だが、シーグラスとしては
"俺以外の男"と噂が出るのは
好ましいことじゃないんだ。
あの美談によって彼女の仕事が
増えているのは確実だったから。
まして
相手もロック・アーティスト・・
それが噂になれば
何を叩かれるか解りきっている。
・・・俺と縁を切ったのは
彼が居たからなのか?
幾らなんでも急すぎたものな。
俺のお遊びが
原因でこうなったんだ。
文句を言えた筋合いではない。
「合鍵、返しに行くからって
言っておいて下さい。」
『・・・、了解。』
その日の夜、7時頃。
俺は仕事を終えて
直接、彼女の所へ行った。
インターホンを鳴らすと
ドアが不用意に開いて驚いた。
「やあ。」
「ああ、居たの?」
禅は悪びれた様子もなく、
俺に屈託なく笑い掛けた。
「彼女は?」
「シアは今お風呂。」
シア? もうそんな呼び方?
俺はふと、この男に
合鍵を渡すのが嫌になった。
「じゃ、また今度来る。
仕事帰りに寄っただけだし。」
「そう。じゃまたね?」
カチーン。
いちいちカンに触る。
愛想よくドアを閉めやがった。
彼女が風呂から上がったら?
・・想像するのも嫌だった。
つくづく、俺って勝手な男だ。